生命保険の見直しポイント
自分に合った資産形成で、本当にしたい生き方を叶えるための“エレガンス”なマネー術を伝授する、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、マネーコーチの吉森ゆきです。
本日は、生命保険の見直しについてです。
生命保険は一旦入ってしまうと、見直す機会がなく、どんなものに入っているのかさえわからなくなっている人が多いです。
私の主催するマネースクールでも、保険の見直しについてのご相談をよく頂きますので、見直しのポイントをご紹介していきます。
目次
生命保険への加入率は増加、一方半数は充足感を感じていない
生命保険には、
- 給付金を受け取る目的である医療保険
- 万が一があったとき家族を守るための死亡保険
- 老後資金を蓄える年金保険
と、目的に応じて様々なタイプがあります。
年齢や性別、家族構成によって生命保険に入る目的は様々ですが、日本では生命保険を多くの人が利用しています。
生命保険文化センターの令和元年度「生活保障に関する調査」によると、生命保険に加入している人は、男性では81.1%、女性では82.9%となっています。
前回(平成28年度)の調査より男性は0.5ポイント、女性は1.6ポイント増加しています。
生命保険加入率(性別・年齢別)
男性 | 女性 | |
---|---|---|
全体 | 81.1 | 82.9 |
20歳代 | 58.5 | 59.9 |
30歳代 | 82.4 | 82.8 |
40歳代 | 91.0 | 89.0 |
50歳代 | 86.1 | 87.3 |
60歳代 | 82.9 | 84.5 |
注)民間の生命保険会社や郵便局、JA(農協)、県民共済・生協等で取り扱っている生命保険や生命共済(個人年金保険やグループ保険、財形は除く)の加入率を示す。
参照:公益財団法人 生命保険文化センター 令和元年度「生活保障に関する調査」
生命保険は何かしらの形で加入されている方が多いことがわかりますね。
しかし、加入率は高く増加傾向にある一方、「充足感なし」と感じられている方が54.6%という結果も出ています。
死亡保障に対する充足感
十分足りている | 5.9 | 「充足感」あり 34.1% |
---|---|---|
どちらかといえば 足りている |
28.2 | |
わからない | 11.3 | ― |
どちらかといえば 足りない |
38.4 | 「充足感なし」 54.6% |
まったく足りない | 16.2 |
参照:公益財団法人 生命保険文化センター 令和元年度「生活保障に関する調査」
薦められるがままに保険に加入してしまい、内容を把握できずいたり、毎月の掛け金だけを基準に考えて保険を選んでしまっている結果かもしれません。
せっかく大切なお金を毎月支払っていくのですから、保険の加入によって安心できたり、充足感を得ていきたいですよね。
では、充足感を得るためには、生命保険をどう検討し、見直しをしていけばいいのでしょうか。
生命保険は出口からの逆算で考える
生命保険に入り、充足感をしっかり得るためには、まずどんなケースでどんな保険金や給付金を受け取ることができるのか、公的な保障と合わせて考えていくことから始めます。
生命保険は受け取る時、すなわち出口から逆算した、入り方がとても重要です。
- 保険金や給付金で何を賄うべきなのか
- どれくらいの金額があれば十分なのか
- 十分とは誰のどんな生活なのか
- すでに準備済みのものはないのか
- 保険以外の方法で準備できないのか
などを検討していきます。
一家の大黒柱である方に万が一があったとき、遺族の方はどれくらいの金額がどのように支払われれば、その後も十分な生活が送れるのでしょうか。
急な入院生活が始まってしまったとき、どれだけの備えがあったら生活に支障がないのでしょうか。
生命保険の出口というのは考えたくもない未来ですが、できる限り想定をしなければ十分な備えをすることはできません。
生命保険の力で叶えられること
保険金が十分にあったお陰で、受け取った子供が安心して教育を受け続けることができ、夢を実現できたというエピソードがあります。
また、生命保険には余命半年と医師の判断を受けたときに、被保険者自身が保険金を受け取れるという特約付きの契約があります。
この保険金を受け取り、十分な治療が受けられて延命が出来たり、残される子供たちに、毎年の誕生日ごと贈り物が届くように準備することができた、といった心打たれるエピソードもお聞きしました。
これは他の金融商品にはない、生命保険の大きな力です。
生命保険にしかない力を活用するために
生命保険は守りたい家族のため、愛を形として残す一つの手段でもあり、素晴らしい仕組みです。
生命保険の加入によって得られるメリットを十分に理解した上で、保険によってどんな目的を達成したいのか、誰をどう守りたいのかを考え、そのための必要な金額をしっかり計算してみましょう。
生命保険を目的に合わせて組み合わせる
生命保険には、
- 掛け金が掛け捨てのタイプ
- 掛け金が積み立てのタイプ
- 保険期間が予め決まっているもの
- 保険期間が終身のもの
と様々な種類があります。
ですので、どういう種類をどう組み合わせれば目的や必要金額が満たされるのか、負担のない掛け金で充足感を感じられるのかを検討していく必要があります。
保険の担当者の方には、自分たちの意向をしっかり伝え、どんな組み合わせがベストなのか提案をしてもらいましょう。
ただし、ここで大事なポイントは、家族を守るための保障とお金を貯める積み立てを別で考えることです。
保障と積み立ては区別して検討する
生命保険の見直しのご相談の中で一番多いのは、保障と積み立てが兼ねられる保険を継続すべきかどうか、についてです。
積み立てを目的に生命保険に加入したものの、資産形成を学んでみると、自分で良し悪しが判断できるようになり、生命保険で積み立てをしていくことに疑問に思うようになられるのです。
掛け捨てにならず、一つの商品で積み立てと保障が兼ねられるって、響きは良く聞こえるかもしれませんが、別で考えた方がずっと効率的になります。
生命保険にかかる余分な手数料を支払わなくても済むためです。
先にも述べたように、万が一の備えである保障は、生命保険にしかできないことですし、それが生命保険の最大の力です。
しかし、子供の教育資金や自分たちの老後資金の準備は、保険を使わなくともできますし、むしろ使わない方がメリットが大きいケースが多いです。
保障と積み立ては区別して考え、生命保険だけではなく他の金融商品にも視野を広げて、幅広に検討していきましょう。
生命保険の見直しは、資産形成全体の設計をしていくこと
生命保険を考えることは、自分の幸せが叶う人生プランを設計していくことの一つの過程です。
ですので、生命保険の見直しでは、生命保険を単体で考えるのではなく、投資信託などの他の金融商品にも目を向け、資産形成の全体像を見て見直しを検討していきましょう。
保険の見直しは、ご夫婦で将来設計を語り合ったり、日々のお金の使い方を見直すいいきっかけとなります。
この機会には、お互いの価値観を共有できたり、漠然とした不安からも抜け出すこともできたり、夫婦仲にとってプラスのことがたくさん増えることでしょう。
生命保険は目に見えず、お試し加入なんてこともできず、さらに複雑なため、ついつい後回しにしてしまいがちですが、自分の理想の人生や大切な家族の夢を叶えていくためにも、知識を身につけて上手に活用していきましょう!