家計の金融資産は2,519兆円に。今こそ見直したい「預金と投資のバランス」

「物価が上がって、生活が苦しくなった」

「給料はそれほど増えていない」

そんな実感を持つ方が多い一方で、日本全体の家計金融資産は大きく増えています。

日本銀行が2026年9月17日に公表した資金循環統計によると、2026年6月末の家計金融資産は2,519兆円。前年同月末と比べて11.0%増えました。

けれど、この数字を見て「みんなのお金が11%増えた」と考えるのは少し違います。

資産が増えた人もいれば、ほとんど変わっていない人もいる。むしろ物価上昇によって、預金の実質的な価値が目減りしていると感じる人もいるでしょう。

大切なのは、日本全体の大きな数字に一喜一憂することではありません。

わが家のお金をどこに置き、どんな目的で育てているのか。

このニュースを、自分の資産配分を見直すきっかけにすることです。

家計金融資産が増えた主な理由は、株式と投資信託

2026年6月末の家計金融資産2,519兆円の内訳を見ると、現金・預金は1,132兆円で、全体の44.9%を占めています。

現金・預金も前年同期比0.5%増えていますが、増加率が大きかったのは投資資産です。

  • 投資信託:193兆円、前年同期比36.8%増
  • 株式等:486兆円、前年同期比47.0%増

ここで注意したいのは、「投資を始める人が増えた分だけ、残高が増えた」ということではない点です。

家計金融資産の残高には、新たに投資へ回したお金だけでなく、株価などの値上がりによる評価額の増加も反映されます。

つまり今回の統計は、投資資産を持っていた人が市場の上昇の恩恵を受けたことも示しています。

時間をかけて投資を続けてきた人と、預金だけで持ってきた人。その違いが、資産残高に表れやすい局面だったといえるでしょう。

「日本人の資産が増えた」と「私の資産が増えた」は別の話

2,519兆円という数字は、日本の家計部門全体を合計したものです。

すべての家庭が同じ割合で資産を増やしたわけではありません。また、この統計には個人事業主の事業性資金や、企業年金など、一般的には自分の金融資産として意識しにくいものも含まれます。

だから、ニュースを見て「周りは増えているのに、私は何もできていない」と焦る必要はありません。

確認したいのは、他人と比べた資産額ではなく、過去の自分と比べた変化です。

  • この1年で、預金はいくら増えたか
  • 積立投資を継続できているか
  • 資産全体のうち、現金と投資はそれぞれ何%か
  • 今の配分は、これからの暮らしや目標に合っているか

まずはこの4つを確認するだけでも、わが家のお金の現在地が見えてきます。

預金が多いこと自体が、悪いわけではない

「預金より投資の方が増えている」と聞くと、預金を減らして投資を増やさなければ、と考える方もいるかもしれません。

けれど、預金と投資にはそれぞれ違う役割があります。

近いうちに使う生活費や教育費、急な病気や修繕に備えるお金は、値下がりの可能性がある場所には置かない方が安心です。

一方で、10年、20年先まで使う予定のないお金まで、すべて預金に置いておくと、物価上昇によって買えるものが少なくなる可能性があります。

大切なのは、預金か投資かの二択ではありません。

使う時期によって、お金の置き場所を分けることです。

  • 日々の生活や数年以内に使うお金は、預金で守る
  • 10年以上先のためのお金は、長期・積立・分散を基本に投資で育てる
  • その中間にあるお金は、目的とリスク許容度に合わせて分ける

この土台ができていれば、相場が上がったときに慌てて買ったり、下がったときに怖くなって全部売ったりする必要がなくなります。

相場が下がるときこそ、自分の仕組みを確認する

投資をしていると、利益が大きく増える時期もあれば、「あの利益はどこへ行ったのだろう」と思うほど評価額が下がる時期もあります。

でも、長期の資産形成で大切なのは、上がっているときだけ続けることではありません。

相場が下がっているときにも、生活に無理のない金額で積立を続けられること。そのために、預金と投資のバランスを先に整えておくことです。

どの会社が伸びるのか、新しい投資商品は何か。そうした情報も役立ちます。

けれど、その前に必要なのは、現在地を把握し、目標を決め、続けられる金額で積み立てるという基本です。

新しい情報を追いかけるほど、つい忘れやすくなるのが、この土台なのだと思います。

お金は、人生を豊かにするための道具

資産を増やすことそのものが、人生の目的ではありません。

将来への不安を小さくしたい。子どもの選択肢を広げたい。好きな場所へ出かけたい。働き方を自分で選べるようになりたい。

そうした願いをかなえるために、お金があります。

家計金融資産が2,519兆円になったというニュースも、「投資をしている人だけが得をしている」と焦る材料にするのではなく、自分のお金の置き場所を考えるきっかけにしたいものです。

預金も必要。投資も必要。

その割合に、すべての人に共通する正解はありません。

まずは、わが家の資産を預金・投資信託・株式・保険などに分け、それぞれの金額と割合を書き出してみる。

そこから、「このお金は何のために、いつ使うのか」を重ねてみる。

数字を見えるようにすると、次にすべきことは意外なほどシンプルになります。

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参考情報

本記事は、2026年9月18日時点で確認できる公表資料に基づく一般的な情報提供を目的としており、特定の金融商品や投資行動を推奨するものではありません。投資には価格変動や元本割れのリスクがあります。実際の判断は、ご自身の資産状況、生活設計、リスク許容度を踏まえて行ってください。