貯金額と豊かさは比例するのか

2023.04.06

自分に合った資産形成で、心豊かなライフスタイルを創るための“エレガンス”なマネー術を伝授する、1級FP技能士、マネーコーチの吉森ゆきです。

みなさんは将来は豊かに暮らしたい、安心したいからと、貯蓄をお考えかと思います。

貯蓄の指標である、通帳の残高。

この数字が徐々に増えていくことに喜びを感じる方も多いかと思いますが、預金をせっせと増やしていけば、豊かさも増えていくのでしょうか？

私は子供の頃から母親に「貯金しなさい」と言われて育ち、お金については「貯金する」という知識しか持たずに大人になりました。

あるお客さまが、こんなことをお話してくれました。

人よりも恵まれていると思うのですが、いくら貯めても不安です。

お勤め先はご夫婦ともに優良企業。

子供の教育費は祖父母から、教育資金贈与の制度を使って援助してもらい、準備済み。

自宅も同じく援助を受けて購入済み、ローン残高なし。

一般的なご家庭よりも、ずいぶんと恵まれた環境だと思うのですが、それでも”お金が不安”と仰っていました。

貯金がいくらあるのかはわかりませんが、おそらく何千万とあったとしても、彼女の不安はなくならないのでしょう。

貯金がいくら増えたか、と豊かさとが比例していない、とてもいい例かと思います。

このお話を聞いた時、なんだかとても心が寂しく感じました。

そして、豊かさについて改めて考えさせられました。

今、すでに十分にあるものを見ないで、ないものに目がいってしまっていると、感じるのは不安だけです。

毎月稼ぐお金も、貯金の額も、上を見たらキリがありません。

もし1億儲かったら、次は2億、2億になったらその次は3億…

お金を目的にしたら、キリがなく、いつまで経っても豊かさや安心は訪れません。

お金は幸せになるためのひとつのツールであって、お金を増やしたら幸せになるのではない、のですよね。

お金のことを考えるとき、一番に「増やす」ことを考える方が多いです。

収入を上げて増やすのか、投資によって増やすのか、手段を考えますが、ここからスタートしてしまうと、先ほどのように、どれだけ増えても満足できない、という循環に陥ります。

豊かになりたくてお金のことを学んだのに、いつまで経っても豊かになれないという悪循環です。

そうではなく、お金のことを学んで本当に豊かになるためには、増やす方法を考える前に、今あるものをしっかりと見ること。

現状確認です。

そして、お金の使い方について考えてみて欲しいと思います。

自分はどんなお金の使い方をしてきていて、どんなものを得てきたのか。

これからはどんな使い方をしていくと、今より一歩先の幸せにつながっていくのか。

増やすこと以前に、お金の学びをここからスタートさせてみましょう。

現状をしっかり見ることができれば、今あるものに感謝できたり、今の幸せが何倍にも感じられるようになるでしょう。

実際に、当社のスクールで学ばれた生徒さんの例ですが、もともと数千万の貯蓄がある方でしたが「漠然とした不足感がなくなり、今でも十分豊かだと感じられるようになりました。」という変化の声がありました。

さらには、節約したつもりはないのに、毎月貯蓄できる金額が自然と増えたそうです。

豊かさは貯金の多さに関係がありません。

未来を憂う前に、まずは今の自分をしっかりと見ること。

そしてなぜ未来が心配なのかも、数字で明確にして、今と足りない分の差を明確にしていけば、やるべきことも明確になり、漠然と不安になることもなくっていきます。

今ある豊かさを十分に感じながら、漠然とした不安を解消し、その先にある豊かさへと進んでいきましょう！